第3回 胃液について

胃の勉強をする機会がありました。当時の内容ではありますが、その記録を残しておこうと思います。意外にもかなりボリュームがあるので数回にわけて掲載します。カテゴリの「胃」を参照して下さい。


目次


 

 

 

胃液とは

胃液は、主に胃底腺から 1 時間あたり 30 から 100 ミリリットル、1 日あたり 1 から 2 リットル分泌される、無色透明で粘り気のある体液で、含まれる塩酸は胃酸とも呼ばれ、通常 pH1.0 から 1.5 程度の強酸性を示す。

胃液には、塩酸および酸性条件下で活性化するタンパク分解酵素が含まれており、これによってタンパク質を分解し小腸での吸収を助ける。
主細胞はペプシノーゲンを、壁細胞は塩酸を分泌する。
副細胞は粘液顆粒を有している。

一方、幽門腺からは、アルカリ性の分泌液と粘液が分泌される。
胃液は、感染症の原因になる細菌やウイルスを殺菌したり、あるいは一部の有害物質を分解することで、これらから身を守る生体防御システムとしての役割を担っている。

中には、ヘリコバクター・ピロリ菌などのように胃酸を中和して胃の内部で生息するものもいる。

胃自体は胃液による消化を免れるが、胃酸の過剰によって潰瘍が起こることがある。
塩酸は壁細胞のプロトンポンプで生成され、ヒスタミン H2 受容体刺激によって分泌が亢進する。

 

 

成分と作用

塩酸は主細胞に含まれるペプシノーゲンを活性化させペプシンとし、
ペプシンは酸性反応下でタンパク質を加水分解し、水に可溶性のポリペプチドにする。

粘液は胃の内壁を覆い、機械的、化学的な刺激から胃粘膜を護る役割を果たすほかに、強力な酸中和能力がある。

 

 

胃液分泌のしくみ

胃液分泌は、神経性と体液性に調節され 3 つの時期に分類される。

第 I 期は脳相とよばれ、食物のにおいをかいだり、あるいは食物のことを想像するだけで胃液が分泌される。
この分泌は主として迷走神経の興奮によるもので、酸度が高く、ペプシノーゲンが多い。

第 II 期は胃相といわれ、食物が胃に入ると幽門部が進展され、それが刺激となって 3 ないし 4 時間続いて分泌がおこる。
この分泌は迷走神経を介した反射によるほかホルモンによるものがある。このホルモンをガストリンといい、
幽門前庭部に存在する G 細胞から血管内に分泌 (内分泌) され、酸分泌を促進する。

第 III 期は腸相といわれ、胃内容が十二指腸に入ると分泌が抑制される。一般に迷走神経は分泌を促進し、交感神経は抑制に働くといわれる。
主として副交感神経線維からなり、交感神経と拮抗しながら、内臓平滑筋の運動と腺の分泌を調節する。
腺粘液細胞から分泌された腺粘液に囲まれた胃酸が胃内腔側へ分泌される。

その結果、表面粘液と腺粘液は層状となり、胃酸と胃粘膜は表面・腺粘液で保護される。

 

 

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